都会に暮らすカラスの巣には何が使われているのかご紹介します。
「あれ?これがない?誰のイタズラだよ」と思ったら犯人はカラスです。
※ここでのカラスはハシボソとハシブト2種の事を指します。何それ?の方はこちらへ
田舎のカラスの巣
基礎工事は木の枝で行われます。
巣作りの第一前提として木から落ちないことが重要なため、建築場所は木の枝の分かれ目などに決定します。
木の分かれ目に、二股に分かれた大きめの枝をひっかける様に置き、同じように二股に分かれた枝を交互に差し込んでいくと枝の反発力で次第に固定されていきます。
土台ができると次は枝を器用に組んで外装が完成です。
そして内装に細い枝や木の皮、つる性の物、葉などで徐々に細かく整えていきます。
仕上げに動物の毛や細いシュロなどでクッションを作れば完成です。
卵が割れないように、生まれたての我が子がケガをしないようにと親心あふれる一級建築士が手掛ける家です。
都会のカラスの巣
本来木の枝をベースに基礎工事がされるカラスの巣ですが、街中のカラスたちは巣の材料となる枝が少ないため色々な人工物を工夫して利用します。
木の皮の代わりにビニールテープやビニール袋。小枝の代わりに洗濯ばさみ。
その中でも一番利用率の高い都会カラスに人気な材料が針金ハンガーです。
洗濯して干したはずの服が落ちてハンガーだけない場合はカラスが犯人です。

いっぱいあるし丈夫で骨組みには最適だカー
硬くて丈夫な巣材を探しているカラスには好都合です。
『カラスが針金ハンガーを使うのは周りに巣材となる枝が無いからだ』という調査報告がありますが、最近は『木や枝があっても針金ハンガーを使っている』という例もあります。
カラスネットワーク内で

わざわざ探しに行かなくてもいいし、加工もできてあれ便利だぜ!
と広まっているのかもしれません。
ところがクリーニング屋さんでも原料の高騰とリサイクルの関係で針金ハンガーを数年前に廃止。
日用品にこだわる人も増え、安価でオシャレなハンガーが買えたこともあり、針金ハンガーがベランダから消える未来もそう遠くはないかもしれません。
ちなみに、プラスチックのハンガーはカラス的にはお好きではないようです。
さて困ったカラスの次のターゲットは何になるのでしょう?
おまけ:動物の毛はどこから調達?
クッションや保温としての意味がある為欠かせない材料ですが、そんなに都合よく毛の塊なんて落ちていません。1本ずつなんて探す方が大変です。
もっと簡単な、かつ効率的な方法があります。それは直接拝借or動物が居る所に行けばいいのです。
RPGゲームでいうところの採取クエストです。
ターゲットはエリアによって違います。街なら昼寝をしている野良猫から、動物園や牧場なら牛や馬の背中からブチリと抜きます。
動物病院やトリミングサロンの周辺には犬の毛が沢山落ちているので、それを知っているカラスが一番楽だと思います。すずめもよく巣材目的で来院していました。
おまけ:立ち話にご用心
よく「何もしていないのにカラスに襲われた」と聞きますが、あれは人が悪いです。
繁殖期の春。子育てでピリピリしているカラスの巣の近くで井戸端会議なんて始めると
「早くここから立ち去りなさいよー!!」と親カラスからの怒りの鉄槌が下ります。
玄関前で知らない人たちがたむろしていたら誰だって嫌ですよね。
まとめ
- 基本は自然物基礎工事は丈夫な枝
- 内にいくにつれ細かい巣材で調整
- 真ん中はヒナの為に動物の毛などで柔らかくしてある
- 巣材の中でも針金ハンガーが人気
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